AI時代、エンジニアに「プログラミング力」だけを求めない理由

生成AIの進化によって、エンジニアを取り巻く環境は大きく変わり始めています。
以前であれば、プログラミング言語を学び、コードを書き、動くものを作ること自体に多くの知識や経験が必要でした。しかし現在は、AIを活用することで、以前より短い時間で、動くものの形を作れるようになってきました。
では、これからプログラミング力の価値は下がっていくのでしょうか。
私は、その価値はむしろ高まると考えています。
AIがコードを書いてくれるようになったからこそ、そのコードが本当に正しいのか、システムとして問題がないのかを判断するための知識や経験が、いっそう重要になると考えています。
「作れること」から「正しく作れること」へ
AIに「こういう機能を作って」と指示すれば、形にすることはできます。ただし、「動くこと」と「正しく作られていること」は同じではありません。
例えば、一見問題なく動いていても、想定外のことが起きたときの処理が抜けているかもしれません。少ないデータでは問題がなくても、データが100万件になった途端に遅くなることもあります。セキュリティ上の問題が隠れている可能性もあります。こうした問題に気付き、「この作りで本当に大丈夫なのか」と判断するためには、開発する側の知識や経験が欠かせません。
そして、これからはプログラムだけではなく、システム全体の仕組み、データベース、インフラ、性能、セキュリティなど、幅広い視点も必要になります。
「何を作るのか」に加え、「なぜ作るのか」「どのような仕組みが適切か」「どうすれば安全で使いやすくなるか」を考える。その道筋を考えながら、AIの力も活用する。これが、これからのエンジニアに必要な力だと思っています。

今ある知識と同じくらい成長する力を大切に
学び始めた段階で、すべての技術を知っている必要はありません。経験したことがないものを最初から考慮するのは難しいからです。経験を積んだエンジニアが「ここは危ないのではないか」「この作りだと後で問題になるのではないか」と気付けるのも、過去にさまざまな成功や失敗を経験しているからです。
だからこそ、今の知識だけで判断するよりも、新しい経験から学び、自分の力にしていく姿勢を大切にしたいと思います。分からないことがあればAIを使って調べる。実際に自分で試してみる。それでも分からなければ、周囲のエンジニアに聞く。
解決した後に、少し立ち止まって振り返ることも大切です。なぜそれで解決したのか。どのような仕組みなのか。次に同じような問題が起きたとき、自分で考えられるか。そこまで理解しようとすることで、一つひとつの仕事が自分の経験になっていきます。
AIから得られる知識も、先輩たちが持っている知識も積極的に吸収して、少しずつ自分の力にしていけるとよいと思います。
技術と同じくらい「考えること」を大切にしたい
私たちが仕事をするうえで大切にしているのは、自分の担当する仕事について丁寧に考えることです。丁寧に考えることで、「この場合はどうなるのだろう」「本当にこれで大丈夫だろうか」という疑問が生まれます。そうした疑問を確かめる過程が、判断する力を育てていきます。
そして、自分一人の判断で終わらせないことも重要です。自分が何を考え、なぜその判断をしたのかをチームに伝える。他のメンバーから意見をもらい、自分にはなかった視点を取り入れる。エンジニアの仕事は、一人で完結するものではありません。
だからこそ、技術力だけでなく、自分で考える力と、その考えを周囲と共有する力も大切だと考えています。採用においても、特に新卒の場合などは、現時点でできることだけでなく、学び続けたいという気持ちや、周囲と協力して仕事に取り組む姿勢を見ていきたいと思っています。
AIネイティブ開発の方法を育てていく
グッドビーでは、AIを開発工程の一部に組み込み、設計から実装、検証までの進め方を見直す「AIネイティブ開発」に取り組んでいます。その進め方はまだ確立の途中です。品質を確かめながら、現場で使える開発手法として形にしていきたいと考えています。
例えば、AIが生成したコードの例外処理、性能、セキュリティをどの段階でどう確認するかを決め、必要な観点をAIへの指示やレビューの手順に反映します。私たちがこれまでの開発で得てきた知識や経験を指示や確認の手順に落とし込み、課題が見つかれば改善していく。こうした試行と改善を重ね、グッドビーとしてのAIネイティブ開発の手法を確立していきたいと考えています。
そのためには、AIを使う場面を増やすだけでなく、結果を確かめる力も必要です。AIに何を指示するべきなのかを考えるには、そもそも自分自身がプロジェクトの目的や仕様を理解している必要があります。
「何のためにAIを使い、何を実現するのか」をチームで共有することが、開発手法を育てる出発点になります。
経験と学びの機会を作ることも会社の役割
入社後は、プログラミングだけをするわけではありません。設計書を作成したり、テストをしたりすることもあります。一見するとプログラミングとは離れているように感じるかもしれませんが、こうした仕事を経験することで、システム開発全体が少しずつ見えるようになります。
そのうえで、グッドビーでは、経験の浅いメンバーにも、実際に技術に触れ、考え、試せる機会を作っていきたいと考えています。実際に作ってみる。
そして、それをチームにオープンにして、良かったところ、改善できるところをレビューする。先輩エンジニアがどのように考えているのか、どのように問題を解決しているのか。技術だけでなく、仕事に対する姿勢も含めて、チームの中で学べる環境を大切にしたいと思っています。会社が学びの機会と相談できる場を用意し、一人ひとりが経験を自分の力に変えていく。そうした関係が理想だと考えています。

学び続けることが将来の力になる
これからの開発では、AIを活用する場面がますます増えていくでしょう。私たちも、日々の仕事の中で積極的に試していきたいと思います。その際には、得られた答えを確かめ、理解することが欠かせません。
AIが出した答えを理解する。その背景にある仕組みを調べる。分からなければ周りの人に聞く。そして、その経験を次の仕事で生かす。その積み重ねが、次の判断に生きてきます。そして、システムの先にいる人を思い浮かべることも大切です。そのシステムを使う人は何を求めているのか。どうすれば使いやすくなるのか。どうすれば安心して使ってもらえるのか。
使う人の立場から考え続けることが、お客様への貢献にも、作り手の成長にもつながります。新しい技術に戸惑うことや、すぐには理解できないこともあります。
一つずつ確かめながら経験を重ね、新しい方法にも挑戦していく。一日一日では小さな違いかもしれません。その積み重ねが、将来の仕事の幅を広げていくと思います。
AIの進化に合わせて学び、考え続けられるエンジニアを、チームで育てていきたいと思います。グッドビーとしても、一人ひとりが成長できる環境を整えながら、AIネイティブ開発を実践し、よりよいシステムを届けていきます。